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令和6年度市政執行方針

ページID:0008635 更新日:2024年3月1日更新 印刷ページ表示

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1 はじめに
2 市政執行の基本方針
(1)市政を取り巻く環境
(2)当市の財政状況
(3)今年のまちづくりについて
3 主要施策
(1)一人ひとりを大切にするやさしいまち
(2)豊かな自然と共生する安心なまち
(3)ひとが集いにぎわいと活力を生むまち
(4)豊かなひとを育むまち
(5)ともに歩み、ともに築く協働のまち
4 おわりに

1 はじめに

 令和6年網走市議会第1回定例会において、予算をはじめ関連する議案をご審議いただくにあたり、市政執行の所信と施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 我が国の急激な人口減少は、従来行われていた保健、医療、福祉、地域交通など、生活基盤のサービスの維持さえ困難な時代を迎えました。そうした中にあって、市民の皆様をはじめ、関係機関、団体など多くの皆様と情報を共有しながら、市政の懸案事項や課題に機敏かつ柔軟に対応してまいる所存です。

 昨年を振り返りますと、コロナ感染症が2類相当から5類へと変わり、日常を取り戻しつつある中、ホタテ稚貝の斃死や、中国へのホタテ貝の禁輸措置、また、猛暑の影響による農作物の不作など、さまざまな課題に追われた年でありました。加えて、ウクライナ情勢や円安などによる物価の高騰など、事業活動や市民生活にも大きな影響があった年でもありました。

 こうした課題に対し、ホタテの需要拡大や斃死稚貝の処理、燃料や原材料、肥料価格高騰の影響を受けた事業者への支援、また、市民生活への支援では、水道料金の減免、子育て世帯や低所得世帯への給付、全世帯への地域応援商品券の無料配付などの対策を講じてきたところです。

 地域医療においては、訪問型のオンライン診療を行う医療MaaSの実証運行が開始され、今後、医療機関の拡大やスポーツ大会でのメディカルケアなど横展開を図ってまいりたいと存じます。

 子育て支援では、ベビー用品の購入に利用できるクーポン券の支給に加え、小中学校、幼稚園、保育所、認定こども園での給食費を無償化いたしました。このことは、中学生までの医療費の無償化と併せ、子育て世帯に対する経済的な負担軽減を図ることができたものと考えております。

 グリーンの推進では、日本ガイシ株式会社との共同出資で設立した自治体新電力会社「あばしり電力株式会社」が潮見地区での発電を開始し、本年4月には、残る3地区でも発電を開始する予定であり、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、引き続き、施策を講じてまいります。

 デジタルの推進では、デジタルマーケティングの視点を取り入れたプロモーション、400万回ビューとなる観光PR動画など関係人口創出の取り組み、市民係窓口、総合体育館、モヨロ貝塚館でのキャッシュレス決済、コンビニでの住民票などの交付、書かせない、迷わせない窓口の実現など市民サービス向上の取り組み、地域社会では、専門家による相談・支援窓口の開設やAIデマンドバスの本格運行、GIGAスクール構想の推進などに取り組みました。

 引き続き、デジタル技術を用いた市民サービスの向上や事務事業の効率化に努めてまいります。

 9回目を数えたオホーツク網走マラソンは、全国各地から約2千名のランナーが網走を駆け抜け、東京農業大学の学生をはじめ、市民ボランティアなど多くの皆様のおかげで、ランニングポータルサイト「RUNNET」において、一昨年に引き続き全国1位を獲得することができました。改めて、運営に携わってくださった皆様に感謝を申し上げます。

 さて、新庁舎は現在、供用開始に向け工事を進めているところであり、かねてより懸案であった消防庁舎も建て替え方針が決まりました。

 また、女満別空港網走間の高規格道路は、別線・市街地アクセスルート対応方針案が決まり、詳細ルートが今後、決定されますが、公共施設の建て替えや集約の議論と併せ、道路を基軸とした新しいまちづくりが始まる端緒の年になるものと考えております。

 引き続き、誰もが健康で安心して暮らし続けられるまちの実現に、全力で取り組んでまいります。​

2 市政執行の基本方針

(1)市政を取り巻く環境

 政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づく補正予算と、「歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れをつかみ取る予算」とする令和6年度当初予算を一体として、三位一体の労働市場改革による構造的な賃上げの実現、官民連携による投資拡大、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、少子化対策や子ども政策の充実などを含む包摂社会の実現などによる新しい資本主義の加速や、防災・減災・国土強靭化など、メリハリの効いた予算を通じ、新たな経済成長の軌道に乗せていくことを目指すとしています。

 また、「経済財政運営と改革の基本方針2023」では、経済・財政一体改革を着実に推進するが、「重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない」とし、民需主導の持続的・安定的な経済成長を実現するため、「経済あっての財政」の考え方の下、デジタル社会に対応し大胆な行財政改革に取り組む。そして、財政健全化に向けて取り組むとしています。

 国の令和6年度一般会計予算は、過去2番目の規模となる112兆717億円となり、税収は過去最高の69兆6,080億円と、前年度当初より約1,680億円の増加となりました。一方、公債依存度は31.2%であり、債務残高もGDPの1.8倍と、国の財政は予断を許さない状況と認識しております。​

(2)当市の財政状況

 当市の財政状況は、これまでの行政改革の取り組みにより、財政の健全度を示す財政指標は改善基調にあるものの、近年は多額の基金を繰り入れる財政運営となっておりますが、ふるさと寄附の支えにより、一定の基金残高を維持しているところです。

 歳入は、ホタテ禁輸問題があるものの、漁業をはじめとする第一次産業が比較的に好調なことから、高い水準を維持しています。

 一方、歳出では、物価高により経費が増加傾向にありますが、デジタル化の推進により、事務事業の効率化を図りながら、出産・子育て支援の充実、地域医療や公共交通の体制維持、地域産業の活性化、老朽化する公共施設やインフラ施設の更新など、財政規律を保ちながら取り組んでまいります。

 令和6年度の一般会計当初予算は283億4,237万9千円で、対前年度比プラス16億9,699万6千円、6.4%の増、6つの特別会計は総額で95億7,785万6千円、対前年度比マイナス1億1,886万8千円、1.2%の減となりました。

 また、公営企業会計は3つの事業会計の総額で50億4,509万5千円、対前年度比マイナス7,751万1千円、1.5%の減となったところです。​

(3)今年のまちづくりについて

 令和6年度は、地域医療の充実や猛暑対策、人材の確保、公共交通の維持、地域経済の活性化など、総合計画を基本として、5つの観点からまちづくりに取り組んでまいります。

1つ目は「ひとにやさしく、ひとを育むまちづくり」です。

 地域医療では、オンライン診療が可能な医療MaaSにより、通院困難者や医師の負担軽減を図るとともに、引き続き、救急医療体制の確保と開業医の誘致に努め、医療提供体制のさらなる充実を図ってまいります。

 また、不妊治療への助成や、妊婦と産後の母子に対する支援体制の充実に加え、国民健康保険加入者においては、人間ドックの助成対象年齢の拡大とともに、生活習慣病の予防のため特定保健指導の充実を図り、市民の健康維持に努めてまいります。

 子育て環境では、家事、育児に不安を抱える家庭への訪問支援に取り組むとともに、こども発達支援センターの移転検討を進め、施設の機能強化を図るほか、医療費無償化の対象を高校生まで拡大し、子育て世帯のさらなる負担軽減を図ってまいります。

 このほか、生活協同組合コープさっぽろが開設した親子のリフレッシュスペースでのイベント開催など官民が連携した取り組みを展開し、子育て環境の充実を図ってまいります。

 人材の確保に向けては、再就職を希望する看護師、介護従事者、障がい福祉従事者が円滑に復職できるよう研修に取り組むとともに、復職支援金を給付するほか、介護事業所における奨学金の増額を支援してまいります。

 学校生活では、特別な支援が必要な児童生徒の状態に応じたきめ細かな支援を充実させるとともに、不登校の児童生徒が通級する教育支援センターにおいては指導員を増員し、それぞれの段階に応じた適切な指導に努めてまいります。
このほか、市内に在住する外国人へ、網走の歴史や文化、魅力を学ぶ機会を提供し、市民と交流できる場の創出に努めてまいります。​

2つ目は「グリーンなまちづくり」です。

 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた啓発活動に取り組むとともに、あばしり電力の取り組みでは、潮見地区に加え、有休市有地3ケ所において発電を開始するほか、NGKオホーツクにおいても太陽光発電設備の整備に取り組み、再生可能エネルギーの利用促進に努めてまいります。

 また、森林の環境保全機能の維持のため、植林や伐採など計画的な整備に努め、「こまば木のひろば」においては、枯死木の伐採により、森林機能の回復を図ってまいります。​

3つ目は「活力あふれるまちづくり」です。

 農業では、環境に配慮した持続的な発展のため、DXやカーボンニュートラルの促進など農業者の意欲的な取り組みを支援するほか、近年、急激に増加している有害鳥獣の被害を抑制するため、特にエゾシカの捕獲について集中的に取り組みます。

 水産業においては、消費者ニーズや商流の変化など多様な課題に対応するため、漁業者、水産加工事業者の意欲的な取り組みを支援するほか、オホーツク海の海洋環境を的確に把握するため、観測機器の整備を支援します。

 観光業では、デジタル技術を活用したプロモーションを実施するとともに、観光客の行動実態や意識など網走観光の特性を把握するほか、戦略的な観光地域づくりを担うDMOを支援してまいります。

 公共交通では、日常の移動手段の確保のため、生活路線バスやどこバスの運行を支援してまいります。

 働き手の確保については、高校生や、女性・高齢者等を中心とした就労意欲のある社会人に向けた合同企業説明会を実施し、就労や起業への意欲を高めるセミナー、新社会人を対象とした研修会を開催してまいります。

 また、若年層の人材確保と地元定着を図るため、新規就職した方への奨励金の支給対象年齢を引き上げるとともに、公共交通や建設など社会インフラを担う事業者の人材確保の取り組みに対して、支援内容を拡大してまいります。

 このほか、新たに、社宅整備への支援に加え、空き市営住宅の活用も含め、就労者の住宅確保に取り組んでまいります。​

 4つ目は「安全・安心なまちづくり」です。

 災害対策では、夜間においても安全に避難できるよう、北浜地区の津波避難路へソーラー蓄電池式の照明設備を整備するほか、停電時の暖房や照明を確保するため、新たに、郊外地区の避難施設に、外部電力を引き込む配線を整備してまいります。

 インフラの整備では、道路の改良、橋梁の長寿命化対策、導水管や配水管の布設替え、下水道施設の耐震化など強靭化を計画的に進めるとともに、公園については、遊戯施設を中心とした子育て支援型、多目的に活用できる多世代交流型など、地域の利用実態を踏まえながら計画的に再編整備を進めてまいります。

 女満別空港網走間の高規格道路の新規事業化に向けて鋭意取り組んでいくとともに、都市機能の集約や公共施設の適正配置などと併せ、都市計画決定に向けた検討協議を進めてまいります。

 廃棄物処理では、広域での中間処理施設整備に向けた検討を進めるとともに、埋め立てごみの減容などにより最終処分場の延命を図ってまいります。

 また、猛暑への対応として、小中学校へのエアコン設置を計画的に進めるとともに、住宅や、コミュニティセンター、住民センター、ソレイユ、町内会館、自治会館、ふれあいの家へのエアコン設置に対しても支援してまいります。​

5つ目は「デジタルを推進するまちづくり」です。

 工事入札事務を電子化し、入札参加者および市の双方における事務の効率化を図ってまいります。

 また、これまでパトロールにより目視で行っていた積雪深の確認を、自動で観測する仕組みを導入し、除雪の効率化を図ってまいります。

 加えて、ごみステーションの違反ごみ排出状況を速やかに把握できる仕組みを導入するほか、ボランティア清掃活動を行う団体の取り組みを共有化するアプリを導入し、地域美化活動へのモチベーションの向上や活動の広がりを図ります。

 このほか、災害など緊急時に情報を広く早く届けるため、固定電話、ファクスへのガイダンス、SNSとの連携が可能なメール配信の仕組みと、ライン広告を活用したプッシュ型の情報提供の構築に取り組んでまいります。​

3 主要施策

(1)一人ひとりを大切にするやさしいまち

 第1は、「一人ひとりを大切にするやさしいまち」づくりです。

保健医療

 市民の皆様が生涯を通じて健康で安心して暮らせるよう、健康都市連合加盟都市と課題を共有しながら、「網走市民健康づくりプラン」に基づく保健・医療・健康づくりの施策を一体的に推進してまいります。

 生活習慣病の予防では、関係団体と連携した事業の推進に努めるとともに、「あばしりベジラブル運動」の普及啓発や、対象事業への参加者にポイントを付与する「あばしり健康マイレージ事業」に取り組むほか、健康づくりの指導者養成に努めてまいります。

 医療体制の確保では、移動型の医療サービスにより通院困難者や医師の負担軽減を図るほか、引き続き、救急医療体制の確保と開業医の誘致、人材確保に取り組む医療機関への支援のほか、新たに、復職する看護師への支援金の給付や、円滑に復職できるよう研修の実施などに取り組み、医療提供体制のさらなる充実を図ってまいります。

 母子保健では、妊娠期から出産・子育て期にわたる切れ目のない相談体制により、母子の健康保持や増進に努めるとともに、不妊治療への助成や、妊婦と産後の母子に対する支援体制を充実させてまいります。

 予防医療では、国民健康保険加入者の人間ドックの助成対象年齢を拡大するとともに、生活習慣病の予防のため、特定保健指導の充実を図ってまいります。​

地域福祉

 地域福祉では、市民の皆様をはじめ団体、関係機関との連携を深め、地域の支え合いを念頭に、安心して生きがいを持って暮らすことができるまちづくりに取り組んでまいります。

 高齢者福祉では、引き続き、地域および関係機関と情報や課題の共有、連携強化を図りながら、医療・介護・予防・住まい・生活支援などのサービスを切れ目なく一体的に提供する地域包括ケアシステムのさらなる推進に努めるほか、介護人材の確保に向けては、介護福祉士資格取得に向けた奨学金制度に取り組む事業所への支援を拡大するとともに、新たに、復職者へ支援金を給付してまいります。

 障がい者福祉では、手話言語条例に基づく手話の普及啓発に努めるとともに、ジョブコーチの養成や資格取得への支援のほか、復職者へ支援金を給付してまいります。

 子育て支援では、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない総合的な支援を展開するとともに、新たに、家事、育児に不安を抱える子育て家庭などへの訪問支援に取り組むほか、こども発達支援センターの移転検討を進め、施設の機能強化を図ってまいります。

 また、医療費の無償化の対象を所得にかかわらず高校生まで拡大し、子育て世帯のさらなる経済的負担軽減を図るほか、生活協同組合コープさっぽろが開設した親子のリフレッシュスペースでのイベント開催など官民が連携した取り組みを展開し、さらなる子育て環境の充実を図ってまいります。​

生活福祉

 ひとり親家庭も同様に、医療費の無償化を高校生まで拡大するほか、引き続き、親と20歳までの子の医療費の一部または全部を助成し、健康保持および福祉の増進を図るとともに、経済的な支援や就労支援に取り組んでまいります。

 生活困窮者に対しては、自立相談支援と併せ、世帯全体の家計収支を分析し家計の再生につなげる取り組み、また、就労の準備として基礎能力の形成を支援するなど、自立に向けた支援策を継続してまいります。​

(2)豊かな自然と共生する安心なまち

 第2は、「豊かな自然と共生する安心なまち」づくりです。

都市空間

 市街地における居住および都市機能の集約や適切な配置などを示す「網走市立地適正化計画」に基づく、コンパクトで利便性と持続性の高いまちづくりを推進するとともに、庁舎移転後の跡地の利活用、高規格道路の延伸を考慮した都市機能誘導区域内のゾーニングを踏まえ、都市計画の在り方について、関係機関と連携を図りながら検討を進めてまいります。​

都市基盤

 インフラの整備では、道路、橋梁の長寿命化を図るための老朽化対策、郊外地区の道路整備に取り組むとともに、公園は、地域の利用実態や特徴を踏まえながら、計画的に再編整備を進めてまいります。

 冬期対策では、積雪深を自動で観測する仕組みを導入し、除雪の効率化を図ってまいります。

 港湾では、網走港の安全な利用のため監視指導を継続してまいります。

 公共交通では、日常の移動手段の確保のため、生活路線バスやどこバスの運行に対する支援を行うとともに、持続可能な公共交通ネットワークの構築に向け、郊外地域において、予約型乗合タクシーの実証運行に取り組みます。

 JR北海道問題では、乗車運賃の助成や、市民団体などによる自発的な取り組みを支援し、地域利用の促進を図るとともに、市民をはじめ、団体や企業などへマイレール運動を提唱するなど、鉄路の維持存続に向け、関係団体と多様な連携を図りながら対応に努めてまいります。

 女満別空港の利活用では、地域や他空港の関係団体、北海道エアポート株式会社との連携により、路線の利用促進に取り組んでまいります。​

生活安全

 市民の安全・安心では、自主防災組織への支援を通じて地域防災力の向上を図るとともに、夜間においても安全に避難できるよう、北浜地区の津波避難路へソーラー蓄電池式の照明設備を整備するほか、新たに、郊外地区の避難施設へ、停電時の暖房や照明を確保するため外部電力を引き込む配線を整備します。

 交通安全では、園児、児童、老人クラブ会員などを対象にした交通安全教室を開催し、交通安全意識の啓発に努めるほか、貸出用のチャイルドシートを新安全基準に適合したものへ更新し、乳幼児の安全確保に努めてまいります。​

環境

 環境の保全では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、啓発活動に取り組むほか、あばしり電力の取り組みでは、NGKオホーツクにおいても太陽光発電設備の整備に取り組み、再生可能エネルギーの利用促進に努めてまいります。

 環境美化では、ごみの適正排出を推進するため、違反ごみの排出状況を速やかに把握できる仕組みを導入するほか、清掃活動を行う団体などの取り組みを共有化するアプリを導入し、地域美化活動のモチベーションの向上や活動の広がりを図ります。

 廃棄物処理では、廃棄物処理広域化推進協議会において、広域での中間処理施設整備に向けた検討を進めてまいります。

 最終処分場の延命では、資源物集団回収への支援や、分別率の向上に向けた啓発活動に努めるほか、生ごみ堆肥化率の向上、紙おむつの高温高圧処理、衣類などの焼却処理により、埋め立てごみの減容を進めてまいります。​

生活基盤

 公営住宅では、潮見団地の整備に向け、中層住宅の建設に向けた実施設計を行います。

 住環境の改善では、長寿命化やバリアフリー化など住宅改修に対する支援について、エアコンの設置も対象といたします。

 空き家対策では、空き家バンクを利用した物件の流通の促進や、住宅の解体に係る費用を支援してまいります。

 上水道では、安全で安心な水を安定して各家庭に届けるため、導水管や配水管の布設替え、機器の更新に計画的に取り組んでまいります。

 下水道では、河川・湖沼の水環境の保全を図る施設を整備するとともに、老朽化した機械設備などの更新を進め、公衆衛生の向上を図ってまいります。​

(3)ひとが集いにぎわいと活力を生むまち

 第3は、「ひとが集いにぎわいと活力を生むまち」づくりです。

農林業

 農業では、持続的な発展と魅力ある農村環境の維持に向け、環境に配慮した安全・安心な農作物生産、農業基盤の整備のほか、農業後継者および新規就農者を対象とした研修を支援するなど、担い手の確保に努めるとともに、DXやカーボンニュートラルの促進など、新たなイノベーションを活用した農業者の意欲的な取り組みを支援してまいります。

 病害虫や伝染病の対策では、国や道とともにジャガイモシロシストセンチュウのまん延防止と防除に万全を尽くすほか、家畜伝染病の発生時に迅速に防疫作業が実施できるよう、防疫体制を構築してまいります。

 鳥獣被害対策では、増加する農林業被害の抑制のため、エゾシカの捕獲業務を強化するほか、市街地での目撃が増加しているヒグマによる人的被害の防止と共生の両立について取り組みを進めてまいります。

 林業では、森林の持つ木材生産と環境保全という多面的機能の維持と再生を図るため、計画的な森林整備や林道施設の適切な維持管理に努めるとともに、「こまば木のひろば」においては、枯死木の伐採により森林機能の回復を図ってまいります。​

水産業

 水産業では、海面・内水面における漁場環境保全や、網走湖および能取湖の水質・資源調査、ヤマトシジミ資源の回復に向けた種苗生産を支援し、漁家経営の安定化を図るほか、多様化する課題に対応する漁業者、水産加工事業者の意欲的な取り組みを支援してまいります。

 また、オホーツク海の海洋環境を的確に把握するため、観測機器の整備を支援します。

 水産加工の振興では、網走産水産物の良さやおいしさの認知度の向上のため、学校給食や東京農業大学学生食堂での提供、オホーツク網走マラソンや友好都市、首都圏でのPRに取り組むほか、ふるさと納税制度を通じた消費拡大を図るとともに、外国人技能実習生の受け入れ支援に加え、新たに、特定技能1号の外国人材を採用した事業所に支援金を給付し、持続的な水産加工業の発展を図ります。​

観光

 観光業では、デジタル技術を活用したプロモーションを実施するとともに、観光客の行動実態や意識など網走観光の特性を把握するための調査を実施するほか、戦略的な観光地域づくりを担うDMOを支援してまいります。​

商工業

 中心市街地の活性化では、網走中央商店街振興組合や、網走商工会議所、「まちなか網走」などとの連携によるイベント開催のほか、リモートワークなど多様な働き方に対応するコワーキングスペースの利用促進を支援してまいります。

 企業誘致では、引き続き、地域の特性に即した誘致活動を推進するとともに、網走刑務所や関連事業者との連携により、公有地などの資源を活用した共生型地域社会の実現を目指してまいります。

 また、デジタル時代のビジネス変革に対応するため、引き続き、専門家による相談・支援窓口の開設を支援してまいります。​

産業振興

 市場開拓・販路拡大では、ふるさと納税制度を通じた特産品のPRに努めるとともに、引き続き、地場産品の生産性向上につながる設備整備を支援してまいります。

 就労対策では、高校生や、女性・高齢者等を中心とした就労意欲のある社会人に向けた合同企業説明会を実施し、就労や起業への意欲を高めるセミナー、新社会人を対象とした研修会を開催するほか、若年層の人材確保と地元定着を図るため、新規就職した方への奨励金の支給対象年齢を引き上げるとともに、公共交通や建設技能者など社会インフラを担う事業者が実施する人材確保の取り組みについて、支援内容を拡大してまいります。

 このほか、新たに、社宅整備への支援に加え、空き市営住宅の活用も含め、就労者の住宅を確保する取り組みを支援してまいります。​

(4)豊かなひとを育むまち

 第4は、「豊かなひとを育むまち」づくりです。

学校教育

 就学前施設から小学校へ円滑に接続することで、いわゆる「小1プロブレム」を未然に防止するため、幼児と児童との交流や、教職員が教育内容や指導方法の相互理解を深めるなど、幼稚園、保育園、認定こども園、小学校の連携を進めてまいります。

 学校教育では、教育内容の充実、学校運営の改善、家庭や地域を含めた教育環境の整備に努め、子どもたちの確かな学力、豊かな人間性、健やかな体の調和の取れた成長を促す取り組みを推進してまいります。

 このため、学習支援員を配置し、習熟度別指導や少人数指導などに取り組むほか、引き続き、外国語指導助手による英語教育を実施してまいります。

 また、スクールカウンセラーの相談体制の充実のほか、特別な支援を必要とする子どもたちの学校生活や学習活動をサポートする支援員を配置し、個々の状態に応じたきめ細かな支援に取り組むとともに、不登校の児童生徒が通級する教育支援センターにおいても指導員を増員し、それぞれの段階に応じた適切な指導に努めてまいります。

 さらに、児童の学力・体力の向上を図るため、引き続き、東京農業大学の学生ボランティアによる学習サポート、日本体育大学の指導者による指導や教員研修に取り組んでまいります。

 いじめの防止では、学校と家庭・地域における情報の共有や指導体制の充実を図るとともに、未然防止、早期の発見・対応に向け、児童生徒が相談できるアプリの導入のほか、有識者による講演会を開催し、いじめ撲滅の意識醸成を図ってまいります。

 また、SNSの利用上のトラブルや不登校などの課題に適切に対応するため、引き続き、情報モラルに関する指導に努めるほか、新たに、学校教育専門相談員を配置し相談体制を充実させてまいります。

 郊外の学校においては、スクールバスにて通学する児童生徒の負担の軽減のため3路線を追加し、通学時間の短縮化、混雑の解消を図ってまいります。

 生徒数の減少によりさまざまな課題を抱える部活動は、子どもたちが将来にわたりスポーツや文化芸術活動を続けられる環境を構築できるよう、国や北海道が定めるガイドラインに沿って、地域移行に向けた取り組みを進めてまいります。

 このほか、学校と地域の連携・協働により、地域とともにある学校づくりに取り組む「コミュニティ・スクール」を推進するとともに、すべての教員が子どもたち一人ひとりと向き合う時間を確保することができるよう、校務の情報化と効率化を進めてまいります。

 高等学校では、網走南ケ丘高校定時制課程の振興や、下校時の通学手段の確保を支援してまいります。

 東京農業大学に対しては、地元や友好都市などから入学する学生への学資支援金の給付のほか、都市圏の高校生を対象とした校外教育プログラムの取り組みを支援し、さらなる学生確保に努めてまいります。

 日本体育大学附属高等支援学校に対しては、引き続き、保護者の経済的負担を軽減するための入学費用、奨学金制度、教育環境や教育活動のほか、オープンキャンパスや見学ツアーなどPR活動を支援してまいります。​

社会教育

 社会教育では、市民の主体的な学びが豊かで潤いのある地域づくりへと進展していく契機となるような場の充実を図り、網走の魅力を再認識し、新たな発想や創造につながる学習機会を提供してまいります。

 加えて、子どもたちの豊かな心や感性、たくましく生きる力を育み、夢を持って生きることの素晴らしさを学ぶ「子ども夢育事業」を引き続き実施するとともに、青少年の学習環境の整備を図るほか、高等教育機関などと連携した多様な学習機会を提供してまいります。

 図書館では、各種資料の収集や整備・保存に努めるほか、電子図書の書籍の充実を図り、多くの市民が読書に親しめる環境づくりに取り組んでまいります。

 市民会館、総合体育館など社会教育施設については、機能も含め、引き続き、整備の在り方を検討してまいります。​

文化

 芸術文化では、多くの市民が優れた芸術文化に触れ、豊かな人間性を育むことができる活動の充実に向け、さまざまな分野の芸術文化を鑑賞する機会を提供してまいります。

 また、新たな賑わいを創出し、芸術文化の向上や市民文化の発展につなげるため、恵まれた自然環境など、まちの魅力を生かした合宿誘致により芸術文化の活動拠点づくりを図るほか、音楽・美術の専門家による表現技法の学習機会を提供してまいります。

 美術館は、優れた美術作品の鑑賞機会を提供する場として、また、博物館は、郷土の歴史について学び体験する場として、企画展の開催や教育普及活動に努めてまいります。

 モヨロ貝塚館では、古代モヨロ文化を学び、体験する講座の開催などにより史跡を広くPRし、モヨロ文化の定着を図ってまいります。

スポーツ

 スポーツでは、競技スポーツの振興はもとより、誰もが生涯にわたってスポーツに親しみ、健康づくりを進めることができる環境づくりに取り組むほか、備品の整備と施設の長寿命化を図ってまいります。

 トップアスリートなどが「夢先生」として授業を行う「夢の教室」は、引き続き、全小学校で開催し、児童の健全育成に取り組むとともに、全道大会、全国大会に出場するスポーツ少年団へ遠征に係る費用を支援し、子育て世帯の負担軽減を図ってまいります。

 障がい者スポーツでは、障がいのある人がスポーツに親しみ、身体を動かす喜びを体感することによって、健康増進や体力向上を図ることができる環境づくりを進めるとともに、日本体育大学附属高等支援学校や関係団体と連携し、スポーツ教室の開催や指導者の育成を図ってまいります。

 スポーツ合宿では、引き続き、関係機関や団体と連携を図りながら誘致活動に努めるほか、ボート競技の合宿に向けて、競技艇を整備してまいります。​

交流

 国際交流では、姉妹都市のカナダ・ポートアルバーニ市とは、少年少女訪問団の派遣など青少年の交流を、大韓民国蔚山広域市南区とは、市民の主体的な友好交流の促進を図ってまいります。

 また、市内に在住する外国人へ、網走の歴史や文化、魅力を学ぶ機会を提供し、市民と交流できる場の創出に努めてまいります。

 国内交流では、引き続き、友好都市などと、児童・生徒の体験学習や物産交流などさまざまな交流を進めてまいります。

 地域間交流では、網走の食材を扱う市外事業者や、ふるさと寄附をいただいた方々を中心にあばしり応援人・応援隊を募るほか、東京農業大学の卒業生へのアプローチによる関係人口の創出・拡大に努めるとともに、網走での生活を希望する方を大都市圏から募る地域おこし協力隊制度の取り組みに加え、新たに、協力隊の活動を短期で体験するインターン制度を活用し、移住・定住の促進に努めます。​

(5)ともに歩み、ともに築く協働のまち

 第5は、「ともに歩み、ともに築く協働のまち」づくりです。

地域協働

 地域協働では、市民、地域活動の核である町内会や、さまざまな分野で活動している市民活動団体など多様な組織・団体と連携を深めてまいります。

 地域活動では、団体などの地域活動を支援し、市民活動の活性化やコミュニティの育成を図るほか、町内会や自治会が所有する集会施設の改修などへの支援は、新たに、エアコンの設置も対象といたします。

 広報・広聴では、広報紙の充実に努めるほか、災害など緊急時に情報を広く早く届けるため、固定電話、ファクスへのガイダンス、SNSとの連携が可能な新たなメール配信の仕組みと、ライン広告を活用したプッシュ型の情報提供に取り組んでまいります。

 また、「まちづくりふれあい懇談会」「みんなの市長室」「市長への手紙」などの取り組みを通じて市民意識の把握に努め、ともに築く協働のまちづくりを進めてまいります。​

行政運営

 行政運営では、「網走市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の進捗状況や達成度の検証・分析を通じて、効率的、効果的な施策を推進するとともに、「網走市公共施設等総合管理計画」に基づく公共施設などの適正な配置や、「第5次網走市行政改革推進計画」に基づく効率的で効果的な事務事業の推進、「網走市DX推進計画」に基づく持続可能なまちづくりに努めてまいります。

 また、地域公共交通、観光・空港の振興、地方創生、廃棄物処理など、一基礎自治体では解決が困難な課題に対しては、自治体、大学、企業、団体などと多様な連携を図りながら解決に取り組み、斜網地域1市4町の枠組みによる定住自立圏においても、救急医療体制の維持など、圏域全体で必要な生活機能を確保するための取り組みを進めてまいります。​

4 おわりに

 2024年の元日、能登半島で最大震度7の地震が観測され、言祝ぐ空気を一変させた、今年の幕開けでした。元日のこんな日にやめてくれと願っても、地震は構わず、いつの時代も、災禍は時と場所を選ばないのだということを、深く心に刻んだ今年の初めでありました。

 遡ること800年余り前の鎌倉時代、鴨長明によって書かれた随筆、方丈記は、当時の地震や飢饉、疫病など次々と見舞われる乱世を書き記しました。

 「山は崩れて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土裂けて水湧き出で、巌割れて谷にまろび入る。」と、京都の文治地震を記し、地方から物資の供給を断たれた京都において食糧の粟の値段が高騰し、田舎から運ばれる食糧や燃料が滞り、京都の東半分だけでも4万2,300人の死者があったことが記されています。

 「京のならひ、何わざにつけても、みなもとは田舎をこそ頼めるに、絶えて上るものなければ...金をかろくし、粟を重くす。」。800年前の変わらぬ姿が今にも写し出されています。

 私たちは、新型コロナウイルス禍を経て、その後のロシアによるウクライナ侵攻の影響などから食品や燃料の価格が高騰し、能登半島地震においては、水の供給が断たれていることに難儀していることを思うとき、「みなもとは田舎をこそ頼めるに...」の言葉を、いま一度かみしめながら、市政運営に当たってまいりたいと存じます。

 議員各位及び市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。